理研CDBが語る

細胞たちのささやきから解く 生物の相似性

 最近の研究から、胚のサイズに応じて声の大きさを変えることがわかってきた。大きな部屋では大きな声で「頭部になろう!!」、小さな部屋では声をひそめることによって頭部と胴体の比率を一定に保っているらしい。

 どうやら、細胞たちは臨機応変に互いにコミュニケーションしながら、さまざまな状況にしなやかに対応しているようだ。

 このような細胞たちの振る舞いは、私たちの社会構造とよく似ている。私たちが言葉、情報、お金などを介して互いにコミュニケーションするように、細胞たちもモルフォゲンを介して互いにコミュニケーションする。経済学や政治学が地球上の人間の営みを研究するように、モルフォゲンを介して発生過程における細胞たちの営みを明らかにしたい。

 猪股秀彦(いのまた・ひでひこ) 東京工業大大学院では細胞を用いた研究に従事。博士号取得後、細胞の集団を扱う発生学に魅せられ、理研CDBにて研究を始める。平成26年より理研CDB・体軸動態研究チームリーダー。現在は、アフリカツメガエル以外にゼブラフィッシュを用いて研究を行っており、家でも熱帯魚の飼育に挑戦中。建築、工業デザイン、生物などの形・機能美を見ると、その意味や意義を知りたくなる性分。