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九州地方整備局長・鈴木弘之氏  

 ■空港整備はまちづくりとともに

 7月に副局長から局長に就任しました。少子高齢化による人口減少といった大きな課題があり、地方のあり方が問い直されている中、これまで以上に重責を感じています。

 九州のあり方をどう考えるか。世界を見渡せば、アジア各国の経済発展がめざましく、これからはまさにアジアの時代です。九州は地理的近さを生かし、重要拠点としての役割を果たさなければなりません。

 役割の中核を担うのはやはり福岡でしょう。例えば外国人観光客は増えており、ニーズに応えられる環境づくりが必要なのは言うまでもありません。中でも、福岡空港はアジアとつながる玄関となるだけに、その整備は重要です。

 かつて関西に国際空港が伊丹空港だけだった時代があります。需要があっても、(空港処理能力が障害となる)ボトルネック状態となった。関係者の間では「空の鎖国」なんて言われました。

 そうならないために、福岡空港では誘導路や滑走路の増設などの計画が進められています。スケジュール通りに完成できるよう、努めていきます。

 福岡空港の整備が進んでも容量には限度があるだけに、北九州空港や佐賀空港をどう生かしていくかも不可欠になります。

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 とはいえ、福岡を中心とした九州全体の将来を考えれば、海外からの観光客だけに頼っていてはいけません。ビジネス需要が重要です。

 例えば、九州の人口に対する日本人の出国率(平成25年)を見るとわずか8%です。空港の規模などに差はありますが、関東は18・8%、中部は12・6%、近畿は15%です。九州における日本人出国率の低さは、ビジネスの海外進出が本格的になっていないことを示しているといえるでしょう。

 また、玄関だけが立派になっても、中身がなくては意味がない。中心となる福岡を、どういった位置づけにするかを熟慮し、国際的なビジネス拠点としてのまちづくりを、同時に進めるべきでしょう。

 目先のことにとらわれず、30年、50年先を見据え、真にアジアの玄関を担う機能を次世代に残さなければなりません。

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 九州と本州をつなぐ新ルートについても同じことがいえます。関門トンネルなどは老朽化しているからです。特に道路関連については高度経済成長時とは異なり、質への転換を図りつつ、国土の強靱化を進めることが大切です。

 いわば国家による設備投資です。インフラの建設・整備によっていかに国内の生産性向上に寄与するか。その結果として、ただ労賃が安いだけの国との差別化をどう図るかなどが、課題になるでしょう。

 国内全体で言えることですが、やはりインフラ整備によって複合的なメリットが生み出せるよう知恵を絞っていく必要があります。

 これまで九州圏で仕事を重ねてきました。九州は財界活動も活発で元気があり、非常にポテンシャルの高い地域だという印象を持っています。

 東京とのほどよい距離感が、かえって「自立していこう」という気概を生む原動力になっているのではないでしょうか。こうした気概に応えられるよう、努力していきます。(津田大資)