駐車場不足が原因
9月下旬の日中。
知恩院前では、複数の観光バスが片側1車線の市道の片側を完全にふさいだ状態で停車していた。多いときには10台近く並ぶこともあるという。
駐車場にとめるのを諦め、仕方なく市道で観光客を乗降させるバスも。列をなすバスとバスのすきまを観光客たちが縫うように歩き、市道を渡る危険な状態になっていた。
中国人観光客を乗せた東京都の観光バス会社の男性運転手(63)は、駐車場不足を実感していると嘆いた。
「年間を通じて月5、6回は京都に来ているが、駐車場は全然足りない。今のところ、お客さんを乗せるまでの時間はいろいろな場所にとめて、警察が来ると移動するという手段しかない」
同じく中国人観光客を乗せた千葉県の観光バス会社の女性運転手(40)も「駐車場が少なすぎる」とうんざり顔だ。
「昼食をとる時間もトイレに行く時間もない。路上駐車の取り締まりがこれ以上強化されれば、運転手の行き場がなくなってしまう。観光客誘致の前に駐車場を増やしてほしい」と訴える。駐車できず、2時間に1度の休憩を定めた就業規則を守れないのが悩みの種だという。
知恩院の近くに住む男性(78)によると、観光バスが市道の両脇を埋め尽くすこともあるという。
「家の出入り口付近までバスがとまるので、自家用車を出し入れするのに前が見えずに困る」と困惑の表情。バスと車の接触事故も目撃したといい、「市道の横断歩道を渡るとき、(駐車された)バスによって死角が生まれ、他の車が走ってくるのが見えにくくなるので、危険。これからの行楽シーズンが不安だ」と話していた。