自転車をめぐるマナーや事故の社会問題化を受け、全国で初めて、自転車利用者に保険加入を義務付ける取り組みが1日、兵庫県で始まった。自転車は健康志向や手軽さで人気が高まっている半面、悪質運転や事故に伴う高額賠償の問題などがあり、安全運転への意識を高めるのが狙い。県交通安全協会が制度導入に合わせて新設した保険には4万人以上が加入したが、県民の自転車保有台数からみると、普及にはほど遠く、利用者からは「周知不足だ」との声も聞かれる。
「保険には入ってません」
1日朝、銀行に自転車でやってきた神戸市長田区の無職の男性(74)はこう話した。加入義務化のことは知らなかったといい、「どこで手続きをしていいかもわからない。義務化を知っていれば入るかどうか考えた。もっとPRが必要ではないか」と話した。
条例は、自転車利用者の保険加入や、販売店に対して利用者の保険加入の確認などを義務付け。4月施行で、半年の周知期間の後、1日に義務化が始まった。
条例は、自転車と歩行者の事故が増加したり、多額の賠償が発生する深刻なケースがあったりするため制定。県内では、自転車と歩行者の事故は平成16年に93件だったが、26年には179件に増加している。
条例の施行に合わせ、県交通安全協会は、損保会社と連携して「ひょうごのけんみん自転車保険」を創設、加入者は1日時点で約4万2千人に達した。
だが、県内の自転車保有台数は約330万台。25年調査で自転車保険の加入率は24・3%で、自転車を複数保有していたり、民間の保険を利用している数を考慮しても、まだまだ普及にはほど遠いといえる。