民主党の細野豪志政調会長や前原誠司元外相らが、安全保障関連法に関する党執行部の対応に異論を唱え始めた。法成立後も廃止を訴える岡田克也代表への批判といえるが、細野氏は政策責任者で、法成立後の異議は説得力を欠く。細野氏は民主党解党を意味する新党結成にも意欲的だが、ここでも岡田氏らと温度差があり、「安保国会」で沈静化していた民主党のバラバラ感が再び表面化しつつある。(山本雄史)
党内の異論は9月19日の安保法成立後、一気に噴き出した。細野氏は29日の記者会見で、対案提出が領域警備法案だけだったことを「不本意だった」と不満を漏らした。前原氏も26日のブログで、岡田氏が法成立後も「安保法廃止を目指す」と明言していることに対し、「廃止」ではなく「見直し」との立場を表明。集団的自衛権の一部行使にも「賛成」と記した。
先の国会では、安保関連法案を廃案に追い込むことを重視した執行部に対し目立った異論はなかったものの、法成立後の相次ぐ異論表明は「後出し」のイメージが否めない。自民党の佐藤正久参院議員は29日のフェイスブックで「政策責任者の党幹部が言ってはいけない言葉だ」と細野氏の言動を切り捨てた。
そんな細野氏が活路を求めているのが新党結成だ。28日のブログで「目指すべきは新党結成」と表明した。党を代表して臨んだ30日の維新の党との政策協議後も、記者団に「政策合意は民主と維新の合意にとどまらず、野党全体で結集できるものになることが望ましい」と強調し、野党結集に触れた。
28日には維新の松野頼久代表らと会談し、合流を前提とした新党結成構想について意見を交わした。
ただ、野党間の選挙協力の必要性を認める岡田氏は、維新などとの「合流」との表現を避けており、「民主党単独再建」の立場に変わりはない。安保関連法の局面で細野氏は政調会長としての力不足を露呈したともいえ、岡田氏らを説得して新党結成に方針転換させるのは容易ではない。