秘録金正日(44)

女性だけを選抜「喜び組」の原型 暗室でやり放題、秘密パーティーの中身とは…

「老処女」の飲みっぷり

 重奏組の女性たちは、金正日から「やめ」の合図があるまで演奏を続けた。泥酔した状態でも正日は、次から次へと曲名を挙げ、演奏を休ませなかった。興が乗ると、上着を脱いで1人で踊りだすこともあった。

 正日が先に酔い、眠りこけると、参加者は、正日が起きるまでその場を離れられない。接待役の女性らは、宴会場に座り込んで「親愛なる指導者」が目を覚ますのをただ待っていなければならなかった。

 申英姫は、さらにはめを外す指導者の逸話にも触れている。「金正日は意地悪い遊びをしたりした。参加者を怒らせるためにビールにおしっこを入れたりもした。みんな酔っぱらっているので、知らずに飲んで美味(おい)しいというものまでいた」

 パーティー規模は次第にふくらみ、70年代終わりには、出席する側近幹部だけで20人を上回った。

 正日と呉振宇に加え、中心のヘッドテーブルを陣取る顔ぶれはいつも、朝鮮労働党書記の金永南(ヨンナム)と延亨黙(ヨン・ヒョンムク)、工作機関「連絡部」部長の鄭慶姫(チョン・ギョンヒ)らだった。

 「老処女(オールドミス)」といわれた鄭は、酒をがぶ飲みしたり、ジョークを飛ばしたりし、場の盛り上げ役に徹した。