10月に入れば早くも年末年始の予定に思いをめぐらす時期。毎年恒例の帰省を楽しみにしている人も多いようだが、既婚者、特に妻の半数は、夫の実家への帰省を「気が重い」と感じているという。「嫁いびり」という言葉も聞かれなくなり、嫁姑(しゅうとめ)問題は「昭和の昔のお話」と思われがちだが、依然、根深いものがある。最近は「義父の言動が嫌い」という嫁も増えており、夫の家族との関係を上手に築くのは、難しいのが現実。妻が配偶者の実家へ気持ち良く帰省する秘訣とは…。(村島有紀)
ストレスで声が出ない
「帰省の前には決まって体調が悪くなるんです。風邪をひいたり、熱を出したり。舅(しゅうと)の前にいると声が出なくなったことも。普段はとても元気なのに、夫の両親の前では『体の弱い嫁』と思われています」と話すのは、東京都に住む結婚6年目の中野圭子さん(44)=仮名。夫は関西地方の旧家の長男。夫婦共働きで、家庭内の育児や家事は、ほぼ平等に分担している。
一方、団塊世代の夫の両親は、サラリーマンの夫が稼いで、妻は家事と子育てに徹する典型的な片働き家庭。「家事は嫁がするもの」という固定観念が強く、夫の実家に行くと「良い嫁」としての振る舞いを期待される。
何でも頑張るタイプの圭子さん。「普段忙しく働いていて、年末年始は貴重な休み。できることなら子供と一緒に親子でゆっくり過ごしたい。それが、夫の実家に行くと、家族全員の夕食の支度は私がして、その上、舅の昔の自慢話に付き合わされる。仕事以上にヘトヘトです」とため息をつく。