玉岡:どれにしましょう?いち推しにこだわらず、もう一度読んでほしい作品、という意識で選びましょうか。
藤浦:賛成です。となると「忘れられない-」も候補になります。
玉岡:同じく「忘れられた-」も重い。
藤浦:そうですね。戦災孤児その人のお話なので重みが違うし、命の軽さや終戦直後の様子に深い衝撃を受けましたね。
尾垣:庶民の日常を切り取るという夕焼けエッセーの基本からすると-。
玉岡:「忘れられた-」でしょうか。この機会に、改めて広く知ってほしい戦争の事実です。
藤浦:なかなか表に出ない戦災孤児のリアルな実体験ですからね。
◇眉村先生講評
壮絶な体験内容に驚き
70年前のことは、自分としては、それなりに覚えているつもりです。その記憶が正確かは危ういところもありますが、当時を思い出せば自分は運がよかったと思わざるを得ませんし、その後の人生において折々に、「生きているだけ幸せだ」と考えるようにしてきました。