西播磨出身・山田さん、たつの・歴史的景観形成地区の古民家改修し食堂開店 兵庫

「地域と共存する店にしたい」と話す店主の山田将史さん=たつの市龍野町
「地域と共存する店にしたい」と話す店主の山田将史さん=たつの市龍野町

 ■「地域住民の憩いの場に」

 たつの市龍野町の歴史的景観形成地区で、古民家を改修した食堂「ゆるん堂」がオープンした。地元西播磨出身(相生市)の店主、山田将史(まさし)さん(40)が店に込めた思いは「地域と共存する店にしたい」。地元農家から仕入れた有機野菜を販売したり、地域の高齢者らに立ち寄ってもらえる工夫を凝らしたりしたという。

 33歳のころ、転職して料理の世界に。他店で経験を積み、独立する際、空き家の活用事業をしている知人の紹介で、歴史的景観形成地区内にある築100年近い約30坪の民家を選んだ。傷みが激しかったため、知人らの助けを得ながら自ら改修し、オープンまでには約1年を費やした。

 作業をする中、知り合った近所の高齢者が、交通量の多い幹線道路を通って数キロ離れたスーパーなどへ買い物にいく姿を見かけた。足腰が弱っている高齢者にとって道路は危険も多い。「近所で買い物ができれば」。自分の食堂で、たつの市や相生市などの農家が栽培した減農薬・無農薬の野菜や、オーガニックの調味料などの販売を決めた。

 地域には一人暮らしの高齢者も少なくない。「買い物や食事のために店を訪れ、地域の人や観光客らが互いに交流し、憩える場にしたい」と考え、当初は座敷だけだった食堂も、高齢者らが座りやすいようにとカウンター席を設けた。入り口には手すりも付けた。

 改修作業中は、地域の人たちに「がんばっとうな」とたびたび声をかけられ、励みになった。山田さんは「仲間や地域の人たちに支えられてできた店。みんなの喜ぶ顔があふれる店にしたい」と話している。

 営業は当面、午前11時~午後2時。無農薬のエサで育てたニワトリの卵を使った卵かけごはん定食や瀬戸内海で獲れる魚がメーンの定食など、700円~1300円の料理を提供。野菜の販売は週1~2回程度行う予定。

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