理研CDBが語る

「不死」のES細胞…増え続け、生き続ける不思議

 逆に、寿命が決まっていたはずの細胞を初期化して作り出す人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、ES細胞と同様の無限の増殖能を獲得している。

 このことは、「不死」という細胞にとって本来異常な性質が、正常な細胞の営みとして可逆的に成立しうることを私たちに教えている。ES細胞やiPS細胞は決して異常なモンスターではなく、秘められた潜在能力を最大限に発揮して、懸命に増殖し、生き続けているのだ。

 彼らはどのようにあらかじめ定められていたはずの寿命を克服し、傷つきやすいDNAを守り続けているのだろう。私はES細胞に「生き続ける能力」の秘密を教えてもらおうともくろんでいる。さまざまな難題を乗り越え、粛々と生き続けていく彼らの力強さを見習いながら。

 大串雅俊(おおぐし・まさとし) 平成19年より理研CDBにて研究員として勤務。ヒトES細胞とは、同年に初めて出会ってから8年来の「お友達」。