日本スプリントの挑戦(30)

16歳・サニブラウンの驚異の飛躍を生んだ育成法とは…

 だからこそ北京で行われた世界選手権では、再び自己記録に近いパフォーマンスを発揮できるか、準決勝に進めるか、何より、それを初めての世界舞台でできるかが焦点だった。

 ジャスティン・ガトリン(米国)と同組の予選。サニブラウンは見事、20秒35(無風)とセカンドベストをマーク。「ちょっと緊張したけど、普通の走りができました。(一番外の9レーンで)前に誰もいないので、自分の走りをすればいいと集中できた。会場は雰囲気、ありましたね」と語る姿には溌剌さがあふれていた。

 準決勝を勝ち抜くには、まだ力が足りなかったが、16歳とは思えぬ気持ちの強さと走力の高さへの反響は大きかった。大会期間中にはガトリンに声を掛けられ、海外の複数のコーチからも「すごかったよ」と言ってもらえたという。帰国の北京空港では、荷物検査の職員に握手を求められるほどだった。

 トップ選手を間近で見て、ともに走ってみて分かったことは多かった。スタートから20mまでは大差がないが、そこからの加速の乗せ方に技術の差があると感じたという。

 「次につながる良い大会だったかな。吸収する所をしていけたらいい」

 16歳の夏。高校の宿題はできなかったが、リオデジャネイロ五輪へとつながる課題とモチベーションはしっかり持ち帰ってきた。(宝田将志)

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