討論

高齢者の地方移住について是か非か

現代版の「姥捨て山」だ 東京都立川市長・清水庄平氏

-高齢者の地方移住についてどう考えるか

 「地域が高齢者や介護者を見守る視点が欠け、現代版の姥(うば)捨て山だ。高齢者からは、長年住んでいるところから離れたくないという声を聞く。未知の土地へ飛び込むのは若者ならドキドキワクワクだが、高齢者にとってはドキドキしょんぼりですよ。受け入れる地方が医療、介護負担を増やすだけだと思うのも当然だ。せめて、方言や食文化が同じ県内での移住など、つながりのあるものでないとうまくいかない」

-東京圏の介護ベッド数不足や医療・介護費の増加など、高齢者を支えるのが困難な地域も出てくる

 「介護ベッド数不足解消と高齢者移住は別問題だ。重要なのは元気な高齢者を増やす施策を進めることだ。立川市では市域を6つに分けて地域包括支援センターを設置し、コーディネーターが高齢者の暮らしを支える取り組みをしている。介護や生活相談を一手に受け付け、受け皿となる事業所紹介などを行うものだ。子育て世代の相談にも応じていて、センターが多世代交流の場と役割も担っている。こうした取り組みも元気な高齢者を増やす環境づくりになると考えている」

-政府調査では地方移住について50代の男性が半数、女性は3割が関心を持っている。日本版CCRCはこうした声に沿った構想ではないか

 「机上論だ。50代は仕事を手にしている積極的な世代だが、フロンティアスピリットを生かせる仕事が地方にあるのか。60代以上の高齢者が真から望んで移住できるのか。私は70歳だが、この年齢になると体力よりも気持ちが大切。生き生きと暮らせるか、マインドが重要だ。移住する住居や施設だけでない、人材活用の環境を同時に整えないといけない」