討論

高齢者の地方移住について是か非か

 -地方は若者を呼び込みに懸命で、高齢者の移住は逆行ではないか

 「元気な高齢者が移住して若年層の流出抑制を進める逆転の発想だ。地方の最大の課題は雇用。雇用がないから若者が外に流出する。工場誘致でなく元気高齢者の誘致が有望だ。空き家や団地、廃校などストックを活用しつつ、介護にさせない健康寿命を延ばすための新産業が生まれる。地域の大学と連携して高齢者を取り込む自治体はすでにある。学ぶ意欲の高い高齢者を集めれば大学経営としても有効だし、働ける世代の流入は人口減の抑制になる。生きがいが持てる地域が誕生することを反対する人はいないはずだ」

 -有識者会議の日本創成会議が東京圏の介護ベッド数不足を示して高齢者の地方移住を促したが、地方からは「押し付けだ」と反発が出た

 「主語の問題だ。創成会議の提言は『東京圏が大変だから地方移住と』と東京主語であり、これでは地方は面白くない。主語を地方にして『わが街が輝くためにアクティブシニアを呼び込み地域活性化』とすべきだった。しかし、地方も首都圏の首長も『姥捨て山』『押し付け』と否定するばかりでは何も解決しない。対案を出すべきだ」

 -官民が取り組む上で忘れてはいけない視点は何か

 「介護報酬による経営では、今の財政では持続できない。『介護にならない』という利用者目線が必要で、利益を生むような予防医療、健康ビッグデータの解析、食事など付加価値の高い組み合わせ型ビジネスへ転換を急ぐことだ。行政は健康に対するポイント制度や減税などインセンティブ(誘発)を与えるといい。制度設計は規制緩和だけでなく日本版CCRC構想に便乗した粗悪な事業者の進出を抑えるための認証規制も不可欠だ」

 まつだ・ともお 昭和41年、東京都生まれ。48歳。慶大卒。三菱総合研究所プラチナ社会研究センター主席研究員。日本版CCRC構想有識者会議委員。著書に「シニアが輝く日本の未来」など。