「戦争と人間」描き続けた人生たどる 山崎豊子展、日本橋で開幕

 綿密な取材を重ね、事実に基づいて壮大な物語を作り上げた山崎さん。もっとも時間をかけた取材は『大地の子』で、3年間の中国取材と1年間の国内取材で約500人に会った。訪れた国は17カ国、取材した人は約5300人に上り、テープは5500本、ノートは980冊にもおよぶ。また、作品ごとに執筆の前に作成していたという詳細な進行表や登場人物の設定表からは、小説ができあがってゆく過程が浮かぶ。

 一方で、愛用の服や眼鏡、帽子やバッグのほか、堺市の自宅の書斎も再現されている。えんじ色や紫のものが多く、きれいな色を好んだらしい、1人の女性としての一面が見える。山崎豊子文化財団事務局長で、おいでもある山崎定樹さん(56)は「私のなかには作家・山崎豊子と、1人の大阪のおばちゃんとしての2人の叔母がいた。日曜でもアポを取らずに訪ねると嫌がられたけれど、『来てくれてありがとう』とうれしそうだった。人の3倍も5倍も愛情のある人でした」。野上さんも「愛読者の方にも(山崎)先生の足跡をごらんいただける。こんなにうれしいことはない。これが本当の意味での先生のお葬式かな、と思っています」と感慨深げに話した。

 ◇ 

 「追悼 山崎豊子展~不屈の取材、情熱の作家人生~」は10月5日まで。東京都中央区の日本橋高島屋8階ホールで。一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料。問い合わせは同店(電)03・3211・4111。横浜(10月14日~11月1日)▽京都(来年1月6日~18日)▽大阪(同1月20日~2月1日)-の各高島屋でも開催予定。

会員限定記事会員サービス詳細