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新幹線放火は5億円? 鉄道自殺 タブー視される賠償請求の内訳

 自殺などで電車を止めると、どれくらいの代償を支払う必要があるのか-。この疑問が話題に上ることは多いが、鉄道各社は一様に回答を拒んでおり、詳細は謎のままだ。6月に東海道新幹線内で火が放たれたケースは、多くの新幹線に運休や遅れが出るなどし、自殺を図った男の遺族にすべての被害を考慮し損害賠償を求めれば「5億円を超える」と指摘する専門家もいる。一方、ある主要都市の在来線ではラッシュ時の場合の平均請求額が「800万円」(鉄道会社関係者)に上るともされ、いずれにしても遺族への負担は大きい。

新幹線で焼身自殺はレアケースだが…

 6月の東海道新幹線新横浜~小田原間で発生した放火事件では、東海道新幹線計43本が運休、106本が最大4時間半も遅れ、約9万4000人に影響が出るなど、運行するJR東海に甚大な被害が出た。

 過去にも自殺を図った人が走行中の新幹線に飛び込み、運行に障害を生じさせる事例はあったが、今回のように車内で焼身自殺を図るのは「レアケース」(JR東海)といい、特急券の払い戻しや事故に伴う人件費のほか、破損した車体の修理費など多額の損害が出たとみられる。

 鉄道評論家の川島令三氏は損害額について、「かなりアバウトな単純計算」と断った上で、「特急券は本来の到着予定時刻よりも2時間以上遅れた場合のみ払い戻されるので、それを勘案すると、単純な比率で影響が出た全人数の半分より少し多い約5万2000人が払い戻し対象となる。特急券の料金約5000円としてかけると、2億6000万円になる」と算定。

 さらに先頭車両の損害が大きかったことから、1両を丸ごと交換するとして、「16両全体で約40億円なので、1両は2億5000万円くらい」と推測する。

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