厚労省は21年度から、銀杯の直径をそれまでの10・5センチから9センチに縮小するなど策を講じてきたが、有識者の提言を受け(1)杯の形を変えず、安価な材質に見直す(2)杯ではなく、より低価格な代替品にする(3)祝い状だけを贈る-など、さらなる縮小を検討。「気持ちを表すのに、杯という日本の伝統的な品に変わるものはない。見た目を変えず、品質を落とすことが一番、現実的」(高齢者支援課)との結論に至った。
純銀製では1個約7600円だったが、銅、亜鉛、ニッケルの合金に銀メッキを塗装したものに変更すれば、半額の約3800円に抑えられる。さらなる「苦肉の策」として、杯裏面の「平成◯◯年」の刻印を省略し、鋳造し直す費用を削減する案も浮上。来年度予算の概算要求には約1億5千万円を盛り込み、「各自治体の意見を聞いて最終決定する」(同課)という。
「膨らみ続ける」とはいえ、国家予算と比べると、その額はいかにも少額だ。各省庁が提出した平成28年度予算の概算要求総額の一般会計は102兆4099億円。厚労省に限っても、高齢化に伴う年金や医療費の自然増で、30兆6675億円に上っており、「銀杯」はその約0・0005%にしか過ぎない。