ガソリンスタンド(GS)の減少に歯止めがかからない。経済産業省によると、今年3月末のGS数は前年同月末比3.4%減の3万3510と、ピーク時の平成6年度末に比べ約45%も減少した。少子化や低燃費車の普及でガソリン需要が減少し、採算が取れずに店をたたむケースが相次いでいるのだ。「GS過疎地」と呼ばれる地域が増加し、ガソリンや灯油の買い物難民も増えており、国は出店する際の規制緩和など対策に乗り出している。(大柳聡庸)
「ガソリンは、構造的に年1~2%需要が減少している」
こう説明するのは、石油連盟の木村康会長(JXホールディングス会長)だ。
ガソリンの国内需要は16年度の6147万6000キロリットルをピークに減少傾向をたどり、26年度は5297万5000キロリットルと16年度比で14%減少した。
競争が激化した結果、採算が悪化し、廃業するGSが後を絶たない。経産省によると、6年度末に6万を超えていたGSはその後、一貫して減り続け、GSが3カ所以下の「GS過疎地」と呼ばれる市町村は今年3月末で283と、全市町村の16%に達した。
「GS過疎地」では、ガソリンのほか冬場の暖房用の灯油を購入する際にも支障をきたす。「災害時に燃料を購入できなくなるのではないか」といった住民の不安も指摘されている。
総務省消防庁は、GSに危険物取扱者の資格を持つ従業員がいなくても、隣接する商店やコンビニエンスストアなどの従業員が給油に対応できる「駆けつけ型GS」を検討している。GSに従業員が常駐する必要がないため、人件費を抑えられる。
また、同庁や経産省は、地下埋設が義務付けられていた貯蔵タンクについて地上に設置できるよう規制緩和を検討中だ。タンクの設置や改修にかかるコストを抑える狙いがある。