安保改定の真実(7)

先鋭化する社会党「米帝は日中の敵!」 5・19強行採決で事態一転…牧歌的デモじわり過激化 そして犠牲者が

【安保改定の真実(7)】先鋭化する社会党「米帝は日中の敵!」 5・19強行採決で事態一転…牧歌的デモじわり過激化 そして犠牲者が
【安保改定の真実(7)】先鋭化する社会党「米帝は日中の敵!」 5・19強行採決で事態一転…牧歌的デモじわり過激化 そして犠牲者が
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 「台湾は中国の一部であり、沖縄は日本の一部であります。それにもかかわらず、それぞれの本土から分離されているのはアメリカ帝国主義のためだ。アメリカ帝国主義について、お互いは共同の敵とみなして戦わなければならない」

 昭和34(1959)年3月12日、社会党書記長の浅沼稲次郎(後の委員長)は中国・北京でこう演説し、万雷の拍手を浴びた。

 人民帽をかぶり意気揚々と帰国した浅沼は数日後、駐日米大使のダグラス・マッカーサー2世に面会を申し入れ、東京・赤坂の米国大使館を訪ねた。

 ほどなくマッカーサーが現れた。浅沼が立ち上がるとマッカーサーは機先を制するように問いただした。

 「中国の共産主義者たちが言う『米国は日中共通の敵だ』という主張に、あなたは同意したのか?」

 浅沼が釈明しようとするとマッカーサーは拳(こぶし)で机をたたき、怒声を上げた。

 「同意したのか? イエスか、ノーか!」

 浅沼はすごすごと引き返すしかなかった。

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 中国もソ連と同様に第57代首相の岸信介が進める日米安全保障条約改定に神経をとがらせていた。毛沢東が進めた「大躍進」で餓死者が続出した混乱期にもかかわらず、昭和35(1960)年5月9日には北京・天安門広場に約100万人を集め、「日米軍事同盟に反対する日本国民を支援する大集会」を開いている。

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