「偶然が重なれば、それは必然」とよく言われるが、19日公開のラブコメディー映画「ヒロイン失格」(英勉監督)は、そういう意味で必然的に生まれた作品といえる。同名原作コミックにほれたプロデューサーが映画化の企画を会社に提案した数日後、芸能事務所のスタッフが訪れ、ある女優を主演に「ヒロイン失格」を映画化してほしいと申し入れたのだ。
原作の影響で顔芸の練習
その女優が「ヒロイン失格」の大ファンを自認する桐谷美玲(25)だった。ヒロインの「松崎はとり」は思い込みの激しい女子高校生。クールな幼なじみの利太(りた=山﨑賢人)と結ばれる運命と信じているが、地味な同級生の未帆(我妻三輪子)に奪われる。悶々(もんもん)とするはとりの前に、学校一のモテ男・広祐(坂口健太郎)が現れて…。
はとりは喜怒哀楽がすぐに表情に出て変顔をするのだが、桐谷もよくまねていたという。「原作の世界観に引かれて、こんなマンガ見たことないという印象でした。自然とはとりの顔芸の練習をしたりしていて、演じられたら面白いだろうなあ、と思っていました」。実は、はとりのモデルが桐谷だった。原作者の幸田もも子は映画化にあたり、「ひそかに主人公のモデルにしていた桐谷さんに演じてもらえるなんて、本当にうれしいです!」とコメントしている。
とはいっても、日常生活で変顔をするのと、大スクリーンに映るのとではだいぶインパクトが違う。桐谷といえば昨年12月に米映画情報サイトが発表した「世界で最も美しい顔100」で8位に選ばれた美形である。抵抗はなかったのか。「全然ないです。演じるからには思いっ切りやりたかった。試写で作品を見て、もっとやってもよかったなと思うところもありました」。本編中では何と丸刈り姿も披露。これが意外と似合っていて、作品に対する意気込みが伝わってくる。「自分から『この役をやりたいです』って言ったこともなかったので、すごく思い入れのある作品なんです」
原作の場面を映画に入れてほしいと自ら直訴も。「原作を読んだときに利太の涙がすごく印象に残っていた。はとりとして利太の気持ちが見えるシーンというのが欲しかったというのもあるんですけど、(個人的に)見たいですってお願いしました」。一方で原作が大好きと言い続けていた分、プレッシャーもあった。「世界観がちゃんと再現できているか、壊していないかなと、どこか思っていて、映画が完成するまでは不安な気持ちもあったんです。試写を見たときに、映画の『ヒロイン失格』はこれで完成した。大丈夫とホッとしました」
人生を変えた1本の電話
はとりのような高校生活をどう見ているのか。「こんな高校時代を送れていたら楽しかっただろうなと思います。ザ・青春みたいな恋愛とか、自分が後悔しないよう何をやっても許される時期。うらやましいなあと思います」
芸能界に足を踏み入れたのが高校生のときだった。千葉県の地元で評判を聞き付けた事務所から突然「会いたい」と携帯電話にかかってきた。「高1の夏ですね。断ろうと思って親と会いに行ったんですけど、ひょんなことから所属することになって今に至るという感じです」。決断したきっかけの一つが、先輩女優・内山理名の雑誌の撮影を見学したことだった。




