鉄道ファン必見

いつ見てもピッカピカ なぜ阪急電車は「美しすぎる」? 伝統の色「阪急マルーン」の背後に浮かぶ〝ブランド〟

 くりの「マロン」が語源で、和訳すればくり色。人によってこげ茶色、あずき色と表現はさまざまだが、溶かしたチョコを流しかけて光沢を出した「グラサージュショコラ」という上品なケーキ。あえて言えば、それに近いように記者は感じている。

 きれいなのは外観だけではない。2300系の車内は高級木材の「マホガニー」の模様をあしらい、これまた光沢のある内装だ。

 「ゴールデンオリーブ」と呼ばれる緑色の座席や「鎧戸(よろいど)」と呼ばれる日よけのブラインドも高級感があり、半世紀以上前の車両なのかと目を疑うほどだ。

 関東の通勤電車は車内の蛍光灯がむきだしになっているが、阪急電車の蛍光灯には有料の特急電車のようにカバーが付いている。すべてが上質。これで特別料金不要の通勤電車だというのだから、関東出身の記者には信じられなかった。

塗装は豪華4層構造!

 大阪府摂津市阪急正雀1の2。地名に「阪急」の入った〝聖地〟に、阪急電鉄の「正雀工場」はあった。車両基地が併設されており、全体の敷地面積は約6万平方メートル。車両の塗装、洗浄はここで行っている。

 「うちは阪急専用の高価なポリウレタン樹脂塗料を使っています」

 こう胸を張るのは阪急電鉄工場課の中尾純利課長(58)。塗装はなんと4層構造で、下塗りした後に下地のパテを塗り、中塗り、上塗りと重ねているという。

 確かに、工場内の車両を見渡すと、光沢のないあせたワインレッドの車両が散見された。下処理段階なのだろう。ところどころパテを塗って補修している様子もうかがえる。

 惜しまれつつ姿を消した寝台特急「ブルートレイン」は長い間風雪に耐えてきただけに、塗装し直した跡が残るなど引退間際になると老朽化は隠せない状態だった。だが、阪急の車両は経年を感じさせない。鉄道の世界にもアンチエイジングがあるとすれば、阪急は間違いなくその権威だ。

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