話題の肝

行き過ぎ? 性的少数者へ配慮で小学校の男女別トイレ廃止 憤懣ぶちまける親の抗議デモ騒ぎに

カリフォルニア大学アービン校の校舎内に設置された男女共用(ジェンダーニュートラル)トイレ。入り口にはトランスジェンダーのシンボルマーク(左端)が掲げられている(ロイター)
カリフォルニア大学アービン校の校舎内に設置された男女共用(ジェンダーニュートラル)トイレ。入り口にはトランスジェンダーのシンボルマーク(左端)が掲げられている(ロイター)

自認する性が身体的性別と一致しないトランスジェンダーの生徒に配慮するため、米カリフォルニア州サンフランシスコの公立小学校が男女別のトイレを廃止して、順次、性別分けのない共用トイレに改修する取り組みを9月の新年度から始めた。全国的に性的少数者(LGBT)の権利を保護する機運が高まっている米国では、一部のトイレを男女共用にする学校が増えているが、小学校レベルで全てのトイレを共用にするのは初めての試み。トランスジェンダーの子を持つ親は歓迎しているが、「社会的に必然性のある区分」まで撤廃するのはジェンダーフリーの行き過ぎではないかといった声も上がっている。

8人のトランスジェンダー

AFP通信などによると、男女別のトイレの完全廃止に着手したのは、サンフランシスコにあるミラロマ小学校(生徒数約370人、1940年開校)。

サム・バス校長は学校のホームページで「ミラロマ小はとても包括的な学校で、あらゆるタイプの生徒がいる。現在校内には8人のトランスジェンダーがおり、男女別トイレを廃止するのは、生徒全員に安心感を持ってもらいたいだけではなく、だれもが一様に平等であることを理解してもらいたいと願うからだ。これは生徒たちに貴重な教訓を教える機会になる」とコメントしている。今後、低学年が使用するトイレから改修を進め、数年以内に全トイレを男女共用にするという。

ある母親は地元メディアに「息子は髪の毛を伸ばし女児用の服を着ている。夏のキャンプでは、男女に分かれたトイレをどちらも使いづらくて困ったといっていたので、これからは懸念が軽減される」と話した。

米国の学校ではトランスジェンダーの生徒の処遇を改善するのが一大潮流になっており、大学レベルでは、カリフォルニア大学が昨年9月、州内にある10のキャンパスで、独立した個室のトイレ全てを男女どちらでも使えるようにすると決め、必要な措置を施した。ただ、トイレの問題は論争も起こしている。

ミズーリでは抗議デモ

ミズーリ州ヒルズボロのヒルズボロ高校では先週、髪を長くし女装したトランスジェンダーの生徒が女子用のトイレや更衣室を使ったことに抗議して女子生徒約150人が授業をボイコット。さらに親たちも抗議デモを行うという騒ぎがあった。

この学校には、既に一部に男女共用トイレが備えられていたが、トランスジェンダーの生徒はこれに満足できず、教育委員会に「女子トイレを使用できるようにしてほしい」と直談判。これを教育委員会が認めたために起こった騒動だった。

結局、教育委員会は女子トイレの使用許可を取り消し、7人いる教育委員のうち3人が10日に辞任した。辞任した3人のうち2人は理由を語らなかったが、1人は地元メディアに「哲学的見解の相違があった」と述べた。

デモに参加した母親の一人は「そもそも共用トイレを設けたこと自体も反対だった。女子生徒保護という、トイレを男女別に分ける理由があるのに、少数のトランスジェンダーの権利が強調されすぎている。まして、トランスジェンダーが女子トイレを使用するなんて絶対に認められない。外見はどうであれ、身体的にはまだ男性なのだから」とメディアに憤懣(ふんまん)をぶちまけた。

日本でも、クラス名簿の男女混合や運動会競技での男女混合などが小学校で実施されているが、やりすぎとの声も多い。男女別トイレが廃止されるとしたら、大反発が起きるかもしれない。(SANKEI EXPRESS)

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