その他の写真を見る (1/3枚)
薬剤などで表面を処理し、水や油をはじいたり、汚れにくくしたりするコーティング。その市場は年々拡大し、今や3000億円近くに上るとの試算もある。住友化学は、従来にない手法を用い、強力な撥水(はっすい)機能を発揮しつつ、耐久性の高いコーティング剤を開発。世界中のあらゆるモノに存在する表面への採用を狙う。
水にも油にも対応
斜めに立てかけた2台のスマートフォン。同じメーカーの同じ機種だ。画面上に水滴を垂らすと、一方が引っかかるようにとどまっているのに対し、もう一方は丸い水滴の形を保ったまま勢いよく滑り落ちていく。共にコーティングを施しているが、撥水性能の違いは一目瞭然(りょうぜん)だ。
後者には、住友化学の新技術が採用されている。同社は、国立研究開発法人産業技術総合研究所の協力を得て2013年10月から技術開発に取り組み、このほど実用化のめどをつけた。
この技術は、水だけでなく油にも対応する。同社情報電子化学品研究所で開発を指揮した新規テーマ探索グループの竹厚流主席研究員は「指紋や手の脂もつきにくく、ふき取りやすいため、画面の指紋をふき取る回数はコーティングしない場合の4回に対し1回で済む」と説明する。