8月1日、この日は経団連が定めた「採用面接解禁日」。大企業志望者にとって本来は本格的な就職活動のスタート日であるはずだったが、多くの大企業の就職活動最終日となった。つまり、多くの企業が8月1日に内々定を出したのだ。
2016年卒の就職活動は、1980年代後半のバブル期以来の売り手市場といわれている。実際に大卒求人倍率は1.73倍と直近のピークだった2009年卒(2.14倍)以来の高水準となった。その結果、例年にも増して優秀な学生の奪い合いが激しさを増した。
選考のある日時に別の企業の選考が入った場合、例年であれば面接日を変更することが可能だった。しかし、今年は面接日の変更を許さない企業が続出している。このように企業は学生の囲い込みに躍起になっているのだ。この状況は学生にとっては厳しい状況である。何十社と選考を通過した企業を減らさなければならないためだ。そのため、8月以前に内定を確保していない学生はこの時期になっても内定を獲得できず、就職留年を検討している学生も多いのが事実だ。
学生の囲い込み激化は、インターンシップにも顕著に表われている。インターンシップとは、一定期間企業などで就業体験を行う制度だ。本来は採用活動とは直結しないものだが、実際はインターンシップを採用に結び付ける青田買いのような事例も出ている。某大手損害保険会社は1000人以上のインターンシップ生を募集する予定のようだ。企業はインターンシップの段階から学生の囲い込みを行っているため、就職活動は大学3年生の夏から始まっているといえる。