理研CDBが語る

iPS細胞、世界初の応用で注目集めた「網膜再生」 最新の医療で視機能の回復を目指す

 まず、対象が目であること。他の臓器と比べて小さく、治療用の細胞も少しでよい。しかもこの網膜の細胞、茶色で多角形という特徴的な見た目のため、違う細胞が混じってないか大変わかりやすく、おまけに転移するような腫瘍(しゅよう)の報告が全くない。

 また目の中は、外から観察できるから検査が容易で、移植後に何か異常が起きた場合に発見しやすい。このような安全性確保上の利点が多くあることから、iPS細胞の最初の医療への応用として、実施が認められたのである。

 一般の方が、過度な期待や不安を持つことなく、冷静な判断ができるよう、正しい情報を提供していくことも、再生医療を推進するわれわれの重要な役割である。よりよい治療を迅速に患者さんに届けることを目標に、研究開発を進めていきたい。

 森永千佳子(もりなが・ちかこ) 博士号取得後、発生生物学の基礎研究を行っていたが、基礎研究の成果を臨床に用いることを目的として開発戦略を策定する「トランスレーショナルリサーチ」に興味を持ち、平成23年より高橋政代氏の研究室、網膜再生医療研究開発プロジェクトへ。再生医療の実現をめざし、プロジェクトマネージャーとして科学、医療、規制、倫理など、直面する様々な課題に取り組む。