安保改定の真実(4)

暗躍するソ連・KGB 誓約引揚者を通じて反米工作 岸内閣を核で恫喝 

【安保改定の真実(4)】暗躍するソ連・KGB 誓約引揚者を通じて反米工作 岸内閣を核で恫喝 
【安保改定の真実(4)】暗躍するソ連・KGB 誓約引揚者を通じて反米工作 岸内閣を核で恫喝 
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 昭和35(1960)年より少し前だった。産経新聞社の駆け出しの政治記者だった佐久間芳夫(82)は、東京・麻布狸穴町(現港区麻布台)のソ連大使館の立食パーティーで、3等書記官を名乗る若い男に流暢な日本語で声をかけられた。とりとめもない会話を交わした後、別れ際に「ぜひ今度一緒にのみましょう」と誘われた。

 数日後、男から連絡があり、都内のおでん屋で再会した。男は日米安全保障条約改定や日ソ漁業交渉などの政治案件について執拗に探りを入れた後、声を細めてこう切り出した。

 「内閣記者会(首相官邸記者クラブの正式名称)の名簿をくれませんか?」

 佐久間が「それはできないよ」と断ると、男は「あなたはいくら給料をもらっていますか。家庭があるなら生活が苦しいでしょう」と言い出した。

 佐久間は「失礼な奴だ」と思い、それっきり男とは会っていないが、もし要求に応じていたらどうなっていたか。半世紀以上を経た今も、思い出すと背筋に冷たいものが走る。