バンコクテロ

当局が「ウイグル族の人身売買組織」に初言及…中国配慮、参考打撃避け 12人は依然逃走中 

 【シンガポール=吉村英輝】タイの首都バンコクで20人が死亡、約140人が負傷した爆弾テロから17日で1カ月となった。捜査当局はウイグル族とみられる容疑者2人を逮捕し、軍事政権が7月、中国での抑圧から逃れてきたウイグル族を軍事政権が強制送還したことへの「報復説」が有力視されている。ただ、首謀者や実行犯を含めて逮捕状が出た12人は逃走中で、実態解明は進んでいない。

 タイのソムヨット警察長官は15日、犯行は摘発に対する報復で、「ウイグル族を扱った人身売買組織」によるとの見方を示し、軍政高官として初めて「ウイグル」に言及した。軍政は「ウイグル」や「テロ」の言葉の使用を徹底して避けてきた。中国への配慮に加え、テロ対象国だと見なされれば、主力の観光産業が大きな打撃を被るためだ。

 昨年5月のクーデターで落ち込んだ観光客数は回復に転じていた。だが、タイの観光・スポーツ省は今月、爆弾テロを受けて35カ国が渡航注意を呼びかけ、133万人の外国人客がタイへの旅行を中止し、643億バーツ(約2160億円)の損失が出たと試算した。

会員限定記事会員サービス詳細