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日本初のプレハブ住宅メーカーとして知られる大和ハウス工業が「Dプロジェクト」と銘打ち、物流施設の開発事業に力を入れている。テレビCMなどで「物流も大和ハウス」とアピールを強めている。社史や物流の市場動向をみると、同社が物流施設に並々ならぬ思いを抱く理由が浮き彫りになってくる。(西川博明)
実は祖業
「当社の創業のルーツは倉庫にある。この成功が後のプレハブ住宅、店舗などに進化していった」
大和ハウスの浦川竜哉常務執行役員は、物流施設事業に注力する理由についてそう力説する。
社史をひもとくと、創業5年前の昭和25年にさかのぼる。大阪湾岸部に洪水被害をもたらしたジェーン台風の際、竹がしなっても元に戻る光景をヒントに、創業者の石橋信夫氏が鉄パイプ製の倉庫を開発した。この倉庫は旧国鉄で相次ぎ採用され、後に日本初のプレハブ住宅メーカーに飛躍する礎となった。
大和ハウスの平成27年3月期連結決算では売上高2兆8107億円のうち、物流施設を含む事業施設分野の売上高は全体の20・6%を占め、同社にとっては住宅以外の事業の大きな柱になっている。また、現在の中期経営計画には物流施設を中心に戦略投資を加速することを掲げる。25~27年度の不動産投資5千億円のうち、物流などの事業施設分野には3100億円と、全体の6割超を投じる計画だ。
施設開発の将来性
さらに大和ハウスが「Dプロジェクト」として、物流施設の積極的な開発に力を注ぐ背景には、近年の物流施設に対する需要の高まりがある。成長を見込める有望な市場がそこにあるためだ。