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視点 入試改革、中間まとめ案 教育ビジョン問われる大学

 文部科学省の専門家会議が、今回発表した中間まとめ案をたたき台に、年内に入試改革の方向性を打ち出す。それを受け各大学は、独自ビジョン(理念)によって教育の質を高める個々の入試内容を固める段階に向かう。日本の大学はまさに正念場にさしかかることになる。

 最近の改革勧告ともいえる一連の動きは、大学関係者には厳しい逆風のように映る。大学が、戦後日本の発展に果たした役割を疑う者はいないだろう。1980年代以降には、国際化に対応し、90年代からは急増する入学者の受け皿として…、自ら改革努力を重ねてきたはずである。

 大学人の中には、そうした事実が忘れられたかのような世論に、やり場のない義憤を覚える人たちも少なくない。

 いま大方の批判は、日本の高等教育が抱える構造そのもの、東京大学を頂点にしたピラミッド状の序列構造に集中している。東大をモデルにすえて、どこを切っても同じ絵が出てくる「知」の単線模様が、グローバル時代にふさわしくないというのだ。

 最近就航した米国製旅客機には日本の先端技術が組み込まれている。それを知らずに利用する人も多いだろう。インターネットのもたらしたボーダーレス(無国境)世界が、私たちの日常を覆うようになっている。

 「知」の分野にも、すさまじい競争が生まれた。国同士の交流が中心だった国際化時代にはないスピードと多様性が求められている。日本の大学をグローバル段階に引き上げるには、すでに制度疲労をきたしている日本独特の「構造」を打ち破ることが急務ということになる。

 新しい時代に生きる人材はどうあるべきか。「知識をただ暗記する学習でなく、自ら問題を見つけて考え、周囲の人たちと協働しながら問題解決に取り組む。そんな能動性を養う」。各大学がそれぞれのやり方で、こうした人材の育成に取り組む。いま文科省で進める改革の核心はここにある。

 改革は高等学校をはじめとする初等中等教育から高等教育までを貫き、新たな大学入試は「高大接続」の枠組みの中で検討される。既に大学側には、学生の主体的な学修を充実させるための教育の質的転換、産業界や他大学との連携、地域への貢献などが求められている。

 入試改革を教育の質を改善するステップとし、大学が複雑化する社会の発展に貢献できる存在に脱皮できるかどうか、である。(編集委員 平山一城)

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