消費税負担還付制度

導入、困難な情勢 公明党が強く反発、世論の理解も得られず

 これに対し、自民党の野田毅税調会長は「振り出しに戻って議論をまとめるのは難しい。別の知恵があるのか」として、還付制度の撤回には応じない姿勢をみせる。与党は平成25年から軽減税率の導入に向けた議論を続けてきたが、欧州の事例などを検証した結果、品目の線引きや事業者負担をめぐり問題が多すぎるとして協議を中断、代替案を財務省に求めた経緯があり、野田氏は「軽減税率は断念した」という認識だ。

 還付制度が抱える消費者の利便性や安全面での課題などについても、野田氏は「自動的に還付する仕組みなど工夫できることはたくさんある」として、国民が理解できる形に修正できるとしている。

 だが、自民党内にも還付制度への批判が出ている。また、報道機関が実施した最近の世論調査では、還付制度に反対の回答が半数を上回る状況にある。

 公明党は地方の党員の声や世論を踏まえ、与党協議を通じて還付制度への反対を強く訴えていく構えだ。来年夏に参院選を控えていることもあり、還付制度の導入の是非をめぐる議論が長引けば政権運営に影響しかねず、安倍晋三首相が早期の判断を迫られる場面が出そうだ。

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