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死者75人を出した昨年8月の広島市の土砂災害から1年。発生直後には地元関係者が予想していた以上のボランティアが被災地に殺到し、逆に活動を断られる人が相次ぐなど現場が大混乱。ボランティアだけでなく地元住民からも不満の声が上がる事態にもなった。平成7年に発生した阪神大震災、23年の東日本大震災などをきっかけに市民ボランティアの存在は身近になり、その果たす役割も大きくなっている。しかし、その一方で、ボランティアの差配の仕方や頼み方などの課題が浮き彫りになった。
人手は多い方が助かるのに…余るボランティア
「なんぼでも泥があるじゃろう、どうなっとんや」
「しゃくし定規にやるなや」
土砂災害発生から10日後の昨年8月30日朝、被災地の広島市安佐南区に開設された同区災害ボランティアセンターでは、ボランティア活動を断られた人たちの不満の声が響いていた。
この日は夏休み最後の土曜日で、同センター前には早朝からボランティアを希望する人たちが長蛇の列を作っていた。センターは予定より30分早く受け付けを始めたが、約2500人を受け入れたところで終了。それでも、まだ大量の人が残される事態になった。
災害ボランティアセンターは、ボランティアを差配する役割を担うが、被災地でボランティアが余るという状況は開設直後からよく見られた。広島市社会福祉協議会などが被害の出た安佐南、安佐北の両区にセンターを開設したのは災害発生から2日後の昨年8月22日。当初は県内在住者だけを対象にボランティアの募集を行っていた。まだ人命救助が優先されていた状況で、天候も安定しておらず、混乱や二次被害を防ぐためだった。