歴史戦

米教科書めぐり日本人学者50人が米歴史家に反論 慰安婦記述「全体の信憑性が問われる」

 「20人の米国人歴史家の声明」のタイトルは、「日本の歴史家に連帯して(Standing with Historians of Japan)となっているが、同声明の中で高く評価している吉見義明教授ですら、尋ねられれば、あの教科書については、何カ所も事実関係の間違いを指摘するであろう。結局のところ、あの教科書の内容を全面的に支持する日本の学者は、おそらく皆無であろう。20人の米国人歴史家たちは、あたかも「亡霊」と連帯すると言っているかのようである。

 米国議会の要請により、省庁横断的な詳細な調査が行われ、2007年4月の米国IWG報告書が提出されたが、第2次大戦中の慰安婦の問題については、日本政府の戦争犯罪を示す文書は一つも発見されなかった。これは、米国国家公文書記録管理局(NARA)によって行われた大々的な調査の結果判明したものであり、2000年から7年間と3000万ドルをかけて、OSS(戦略情報局)、CIA(中央情報局)、FBI(連邦捜査局)、米陸軍対情報部隊(CIC)などが保有するドイツと日本の第2次大戦に関する機密文書が対象とされ、両国について戦争犯罪があったかどうか吟味された。日本については、14万2000件の機密文書が確認されたが、慰安婦に関する戦争犯罪を示す文書は何一つ発見されなかった。しかしながら、マグロウヒル社の歴史教科書も、20人の米国歴史家の声明も、このことには一切触れていない。彼らが、同報告書の存在を知らなかったとしたら、歴史家として不勉強のそしりを免れないし、他方、知っていて意図的に触れなかったとしたら、学者としてのフェアネス(公正性)が厳しく問われることになる。

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