主張

日米原子力協定 継続は安倍首相の課題だ

 日本のエネルギー政策の根幹に関わり、27年間続いてきた現行の日米原子力協定は、2018年7月に満期を迎える。

 さらに3年の自民党総裁任期を得た安倍晋三首相は、これまで先送りしてきた感のある原子力問題を直視し、エネルギー安全保障の強化に取り組むことが必要だ。

 米国との原子力協定は、資源小国・日本の国力維持に必須の枠組みだ。満期を機に、その打ち切りという事態に陥ると原発の使用済み燃料の再利用に基礎を置く核燃料サイクル政策は頓挫する。

 ウラン燃料を使い捨てにせず、再処理などの工程を経て取り出せるエネルギーを飛躍的に増大させられるのが、核燃サイクルの魅力である。世界の非核保有国の中で日本だけが、再処理工場を持てるのもこの協定があるためだ。

 安倍首相の総裁任期は、日米原子力協定の満期と一致しているだけに、その継続を確実にする責務も重なる。

 日本の原子力発電は、福島事故から4年半が経過した今も、全原発43基中、九州電力川内1号機が稼働しているのみである。

 原子力規制委員会による安全審査は、あまりに遅い。

 安倍政権は、規制委改善のチャンスを生かすことなく傍観してきた。原発寄りの印象を国民に与えることでの支持率低下を心配しているのだろうか。エネルギーは国家の血液であることを思い出してもらいたい。

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