浪速風

「忘れた頃に」を忘れるな

大雨による増水で鬼怒川の堤防が決壊し、冠水した住宅地から自衛隊ヘリで救助される住民=10日午後4時9分、茨城県常総市(本社チャーターヘリから、大山文兄撮影)
大雨による増水で鬼怒川の堤防が決壊し、冠水した住宅地から自衛隊ヘリで救助される住民=10日午後4時9分、茨城県常総市(本社チャーターヘリから、大山文兄撮影)

古来、国を治める者はまず水を治めるという。徳川家康は、かつては東京湾に注いでいた利根川の度重なる洪水から江戸を守るため、大規模な治水工事で流れを太平洋へと変えた。「利根川東遷」と呼ばれる。鬼怒川はこの瀬替え(=流路変更)によって利根川の支流となった。

▶利根川は「坂東太郎」の異名で知られる暴れ川だが、鬼怒川も「鬼が怒る」ように荒れる川だった。その姿をまざまざと見せつけた。茨城県常総市で堤防が決壊し、濁流が家々をのみ込む。屋根やベランダに逃れ、あるいは電柱にしがみつく住民を救助のヘリがつり上げる。朝刊グラフ面の写真が緊迫を切り取っている。

▶悪天候の中での救助活動は命がけであろう。とりわけ自衛隊を頼もしく感じた。平素の計画・教育・訓練があってこそで、隊員の使命感に改めて感謝したい。さらに宮城県でも堤防が決壊し、豪雨被害が拡大している。「天災は忘れた頃にやってくる」の警句が古びることはない。