親が生きてきた軌跡を一冊の雑誌にまとめてくれるサービスが好評だ。子供にとってはこれまで知らなかった親の一面を知ることができ、親にとっては自身の人生を子供や孫に伝えられる。雑誌を媒介に家族のコミュニケーションが深まると注目されているようだ。(平沢裕子)
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子供に伝えたい
東京都内の会社員、鈴木啓さん(51)は5月、埼玉県に住む父親(82)と母親(78)、2人分の「親の雑誌」作成を依頼した。高齢者支援サービスなどのベンチャー企業「こころみ」(東京都渋谷区)が同月、親のための自分史作成サービスを開始したことを会員制交流サイト、フェイスブックで知り、すぐに申し込んだ。
鈴木さん自身が50歳を超え、会社や家族への責任をより強く感じるようになり、改めて父親の人生を知りたいと思ったのがきっかけという。鈴木さんは「父が仕事についてどう考えていたのか知りたかった。また、中国・大連で終戦を迎えた父が日本に引き揚げてきたのは中学2年の息子と同じ年頃。息子に祖父母のことを知ってもらいたいとの思いもあった」と話す。