主張

安倍総裁再選 「拉致」を忘れていないか

 自民党総裁再選に際して、安倍晋三首相の発言に拉致問題についての言及がないのは、どうしたことか。

 総裁選は行われず、拉致問題の党内議論もなかった。安全保障関連法案をめぐる国会審議でも、「拉致」は重要課題とはならなかった。恐れるのは、この問題が風化することである。

 安倍政権で拉致被害者を救出するのだという決意を強く発信し続け、国民の怒りを結集して問題の解決に結びつけてほしい。

 岸田文雄外相は1日、拉致被害者らの再調査報告について「全ての拉致被害者の帰国を目指すという意味で期限を設けない」と述べた。北朝鮮による時間稼ぎを容認することにつながる、看過できない発言だが、これが安倍政権の基本姿勢なのか。党内から批判の声も聞かれない。

 北朝鮮は「1年程度」とした調査期限の今年7月、報告の先送りを一方的に通告し、その後も約束の履行を果たそうとしない。

 被害者家族らは報告に期限を設け、一部解除した制裁の復活や、新たな制裁を科すことを求めてきた。北朝鮮との交渉における原則は、「対話と圧力」と「行動対行動」だ。家族らの要求は原則にかなう当然のものだが、外相は顧みようとしない。

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