原発の1・5キロ沖合で停船。土を取った後、魚の採取にかかる。一斉にさおを繰り出す参加者のみなさん。一見すると、のどかな船釣りの風景だ。目の前にぶっ壊れた原発が見えてる以外は。様子をうかがいに近づいてきた海保の巡視船に手をふってあいさつ。採取作業(釣り)はにぎやかに続いた。
主なターゲットは回遊しない根魚。メバルやアイナメ、ヒラメが次々にかかる。沿岸漁業を自粛しているので魚介類が増えているそうだ。サバと見まがうような巨大アジも釣れた。いまの原発沖、釣り人にはけっこう魅力的な状況だったりするのかもしれない。
廃炉に何十年かかるかわからない原発を眺めつつ、海が順調に回復しているという話を聞くのは不思議な気分だった。放射線量については、人それぞれに考え方があるけれど、福島の沿岸漁業が再開されるとき、人々が頼りにするのは、どんな情報だろうか。(篠原知存)