有力ゲームソフトシリーズの最新作「ドラゴンクエスト11 過ぎ去りし時を求めて」が、来年を目途に発売される。ソニーの据え置き型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」と任天堂の携帯型ゲーム「ニンテンドー3DS」の両方で開発中だ。まったく性能の異なる2つのゲーム機で、当初から発売されるのは異例。発売日に全国で行列ができ、社会現象にもなった「ドラクエ」。30周年を迎える来年、往年の人気を取り戻すことができるか。
どよめく記者会見場
7月28日、東京・六本木で開かれたスクウェア・エニックスの発表会。詰めかけた報道陣が知りたかったのは、「ドラクエ11」がいったい、どのゲーム機向けに発売されるか、ということ。人気シリーズだけに、「ドラクエをやるためにゲーム機を買う」という利用者も多い。同社の判断は、ゲーム機自体の販売動向も大きく左右するのだ。
大きなスクリーンに、PS4と3DSの両方が映し出されると、会場からはどよめきが起きた。PS4と米マイクロソフトの「Xbox One」のように同じ据え置き型で性能も近いゲーム機ならともかく、ゲーム機としての性格がまったく異なるPS4と3DSの両方で当初から発売するには、まったく別のソフトを並行してつくる必要がある。ゲーム機の高性能化で、ソフト開発に必要な費用や時間は膨らんでおり、これは業界の常識からみて考えにくいことだった。数百万本の販売が期待できる人気シリーズならではの挑戦といえる。