国民の自衛官 横顔

(1)秋田地方協力本部・斎藤貞敏予備陸曹長(54)

32年間、通算534日間、訓練に出続けている斎藤貞敏予備陸曹長 =秋田市の秋田駐屯地
32年間、通算534日間、訓練に出続けている斎藤貞敏予備陸曹長 =秋田市の秋田駐屯地

全国最多、534日訓練に参加

 「行っていいですか」ではなく、「行きます」と上司に告げて職場を休んだ。4年半前の東日本大震災のときのことだ。本業は秋田県にかほ市にある病院のボイラー技士。即応予備自衛官としての招集命令を受けて被災地に向かった。

 1週間ずつ計3回、岩手県に入り、陸前高田市での捜索活動などに携わった。「トラックで移動していたら、歩道を歩いていたお年寄りの男性に敬礼され、自衛隊への期待を感じた」

 冷戦時代の昭和54年に陸上自衛隊に入隊、当時の第1教育連隊(宮城県多賀城市)での訓練を経て、ソ連の脅威と直面する北海道留萌市の第26普通科連隊の対戦車小隊に3年半所属した。

 父が体調を崩したため退職し、秋田に帰郷。予備自衛官を16年務めた後、即戦力の即応予備自衛官に応募した。常備自衛官時代の経験を生かして対戦車担当になったが、兵器はかつての106ミリ無反動砲からレーザー誘導の87式対戦車誘導弾に進歩していた。

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