スポーツ異聞

御嶽山噴火から1年、登山計画の「盲点」に気づけ!「逗子開成高」遭難事故の教訓

 事故報告書『白いケルン』(逗子開成高校事故報告書刊行委員会編)は、冬山登山の死角について警告する。「北アルプスの天候の変化は速く、時速40キロ以上で変化する一方、歩行速度は時速1キロ以下。訓練に気を取られているうちに降雪が激しくなり、山岳部パーティーは視界を失い、ルートを見出すことができなくなった」。事故原因について「(登山部の)力量と山域選定の不適が計画段階において内在していた」と厳しく糾弾した。

「百名山」踏破への思い

 夏山シーズン終盤、唐松岳頂上山荘で神奈川県から来たという30代の女性と出会った。「日本百名山の踏破」が目標といい、駆け足で70を超す百名山に登頂してきたことを得意げに話していたが、どこか腑に落ちなかった。同じ山荘に、男性山岳ガイドと契約しマンツーマンで山登りの指導を受ける若い女性がいた。2人は一見、カップルのように見えたが他人同士。「安全」を最優先するために単独登山ではなく、ガイドとの山行を選択したという。

 山岳事故に詳しいライター、羽根田治さんは著書『山の遭難』(平凡社新書)の中で、昨今の登山に対する心構えが「受動的」で、あらかじめ用意された「日本百名山」などのメニューに集中する傾向を懸念。天気図の読み書き、地図とコンパスを使いこなすことは昔は常識だったが、今は天気予報のチェックをせず、歩くコースや時間、登る山すら分からない人も珍しくないという。

山小屋ルールが形骸化する?

 標高2000メートルを超す北アルプス周辺の山荘では食料や水、電気の調達にも苦労する。唐松岳頂上山荘でも暗黙のオキテがあり、起床から食事、就寝まで1日の行動計画が決められ、だれもが同じルールの下で寝食をともにする。いわゆる「かいこ部屋」では、他人同士が男女同室で布団を並べて床に就く。「非日常」の中で全員が規律正しい、ストイックな行動をする(隣人のいびきに文句など言えない!)

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