【上海=藤本欣也】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が国内外の慎重・反対論を押し切って強行した中国訪問(2~4日)を終えた。朴政権は訪中を機に、米韓同盟の枠内で経済を中心に中国との関係を強める「安米経中」路線から脱皮し、「米中均衡」外交へ舵を切った。
訪中を終えた朴大統領は4日、「朝鮮半島の平和統一をどう成し遂げるかについて、中国と多様な論議を始める」と明かした。
朴大統領は訪中前、「自らを小国と考えてはいけない。『クジラのけんかでエビの背が裂ける(大国間の争いで小国が巻き添えを食うという意味の韓国のことわざ)』と考えるのは敗北主義だ」と強調。東アジア外交を韓国が主導する意気込みで訪中したとされる。
■米「THAAD」への猛反発で行き詰まり
韓国外交の悩みの種は、米中間で相いれない争点が浮上する度に、最大の同盟国・米国と最大の貿易相手国・中国の間で板挟みになることだ。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への加盟問題がその好例だった。韓国政府は経済的利益を優先し、今年3月、米国の反対にもかかわらず加盟を決めた。韓国メディアは朴外交を「安米経中」(安全保障は米国と手を携え、経済は中国を重視する)路線と評した。