高齢者を詐欺から守る 埼玉県警「協力の裾野広げたい」、パチンコ店・病院と連携

 パチンコの景品に、振り込め詐欺被害防止グッズを-。平成26年の振り込め詐欺の被害額が過去最高の約32億円に達するなど、高齢者が狙われる詐欺の被害は後を絶たない。手を替え品を替え高齢者をだます犯人グループに対抗するため、県警では高齢者の利用が多いパチンコ店との連携を図ったり、医師から高齢の患者に啓発チラシを渡してもらったりと、新たな手段を模索している。

                   ◇

 所沢署では3日、パチンコ店が加盟する所沢地区遊技業防犯協力会に対し、協力事業者証が交付された。同署管内では協力会と連携し、振り込め詐欺被害防止用の自動応答録音装置をパチンコの景品として取り入れる試みが行われている。

 交付式に参加した木下真一会長は「店舗によっては利用者の半分以上が高齢者の時間帯もある。地元の協力会として、できる限りのことをしていきたい」と意気込みを語った。

 川越署は、川越市医師会所属の168施設と連携。各施設に所属する医師らが、高齢者の診断の際に詐欺被害防止のチラシを渡すなどの働きかけを行い、振り込め詐欺の被害減少を目指している。同署は「初対面の警察官より、信頼関係を築いた医師からの呼びかけの方が効果が高い場合もある」と期待を寄せる。

 県警では高齢者を狙った詐欺を撲滅するため、街頭や商業施設での詐欺防止キャンペーンなど、さまざまな取り組みを行っているが、振り込め詐欺の認知件数や被害額は依然として増加傾向にある。

 さらに、近年では詐欺対策の進んでいる金融機関を避け、高齢者が自宅に保管している現金を狙うケースが増加。26年の特殊詐欺のうち約6億1200万円が自宅保管金だった。

 県警は各署の独自の取り組みのほか、県警生活安全企画課でも、県老人福祉施設協議会や、タクシー会社が所属する県乗用自動車協会など、各団体に対する協力要請を行っている。

 同課は「高齢者は手口を知っているのにだまされてしまうケースも多い。振り込め詐欺は社会全体で取り組まなければ解決しない問題になっており、今後も協力の裾野を広げていきたい」としている。(菅野真沙美)

会員限定記事会員サービス詳細