配食について矯正局幹部は「例えば、給食係の受刑者が豚汁を器に入れた後、刑務官が改めて具を振分けます。受刑者は『自分だけ不利な扱いを受けている』と思い込みがち。刑務所では平等であることが非常に大事です」と説明する。
「昼食後の歯磨きをしたい」という要望も福井刑務所であったが、回答は「洗面場所が狭く昼休憩時間内に終わらない場合もある」。実際、数十人が作業しているのに洗面台が3つ程度しかない工場もあり、時間がかかりそうだ。
「冬場の洗髪はお湯にしてほしい…」
食事もそうだが、入浴など生活に密着した意見が少なくない。府中刑務所では「入浴回数を週2~3回からもっと増やして」「15分の入浴時間を30分に延長を」という要望も。日本弁護士連合会の刑事拘禁制度改革実現本部本部長代行、海渡雄一弁護士は「一般社会では毎日、風呂に入っている。夏などは衛生上も問題だ」と指摘する。
これに対し、矯正局幹部は「多くの刑務所では、人数に対して風呂場が小さいため増設する必要がある。監視要員や燃料費も増えることになる。作業時間を減らすことができれば別ですが…」と苦しい事情を打ち明ける。なお、入浴については、法務省令で「週2日以上」と決められている。