【ワシントン=加納宏幸】中国海軍の艦艇5隻が米アラスカ州沖のベーリング海の公海上を航行していることが2日、明らかになった。複数の米メディアが報じ、米政府が確認した。国防総省によると、ベーリング海で中国艦隊の活動を確認するのは初めて。中国は北極海開発への関心を強めており、米政府はその玄関口である海域での活動を注視している。
AP通信によると、活動が確認されたのは水上戦闘艦3、揚陸艦1、補給艦1の計5隻。中露両国海軍は8月下旬、ロシア・ウラジオストク沖の日本海で海上合同軍事演習を実施しており、参加艦の一部がアリューシャン列島を抜けベーリング海に入ったという。
オバマ米大統領は気候変動が北極圏に及ぼす影響などを訴えるため8月31日から2日までアラスカ州に滞在。中国艦船の活動はオバマ氏の同州訪問と関係があるとの見方が出ている。
これに対し、米ホワイトハウスのアーネスト大統領報道官は2日、中国艦艇の存在を認めつつも、公海上を航行していることから「脅威を及ぼすような活動は確認されていない」と指摘。中国側の意図は現在のところ不明であるとした。国防総省のアーバン報道官も「すべての国が国際法に従い公海上で軍用艦艇を運用する自由を尊重している」と述べるにとどめた。