浪速風

「防災の日」にして「二百十日」 

緊急災害対策本部会議に臨む安倍晋三首相(左から2人目)=1日午前、首相官邸(斎藤良雄撮影)
緊急災害対策本部会議に臨む安倍晋三首相(左から2人目)=1日午前、首相官邸(斎藤良雄撮影)

夏目漱石に「二百十日」という小品がある。ほぼ全編、阿蘇を旅する2人の青年の会話で、華族や金持ちが幅を利かせる世相に不満をぶつけ合う。阿蘇山登頂を目指すが、二百十日の嵐に遭って断念する。噴煙を上げる阿蘇と、灰まじりの雨、風の描写は、熊本での教師時代の体験が元になったらしい。

▶宮沢賢治の「風の又三郎」で、山あいの分教場に転校生がやって来るのも二百十日である。風の強い日で、みんなは伝説の風の神の子だとささやき合う。立春から数えて210日目は稲が開化・結実する頃で、そこに台風が襲来する時期が重なって農作物に被害を与えることから、古くから厄日とされる。

▶こんなにくっきりと季節が変わるのも珍しい。夏が足早に退場し、例年のような厳しい残暑はない。天気図にはもう秋雨前線が張り付いている。台風シーズンを迎えて、災害に警戒せよということか。加えて、今日は大正12(1923)年に関東大震災が起きた「防災の日」。