大阪「正論」懇話会

「最も危険なのは南シナ海」「これから日本は海を守らなければ」 山田吉彦氏の講演要旨

山田吉彦東海大学教授
山田吉彦東海大学教授

南シナ海は重要オイルルート

 集団的自衛権の議論のなかで(ペルシャ湾とオマーン湾の間に位置する)ホルムズ海峡について石油輸送の「オイルルート」をめぐる機雷処理の話がもちあがっている。だが最も危険なのは南シナ海だ。迂回(うかい)航路があるとの主張も聞くが、全く海を知らない論理だ。ベトナム、マレーシア、シンガポールなど南シナ海を通らなければ、他国と貿易できない国が多くある。

 日本とそれらの国との貿易総額は、輸入が約900億ドル、輸出が約1000億ドル。これなくして日本経済は成り立たない。となれば南シナ海の安全を守らなければいけない。しかも重要なオイルルートであり、日本人の使うエネルギーの80%がマラッカ海峡を通り南シナ海を通過して日本に送られている。この海の安全を守るのは日本の義務だ。

日本のことだけ考えてはダメだ

 審議中の安全保障関連法案をフィリピンやベトナムも高く評価し、早く決めるよう求めている。日本のことだけ考えていれば日本人が平和に暮らせる時代ではない。南シナ海では中国は7カ所も人工島を作り、飛行場まで設けた。国際法違反であり、知る限り今世紀最大の海洋環境破壊だ。

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