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昭和54年に放送が始まったリアルロボットアニメの金字塔「機動戦士ガンダム」によって、メカニックデザイナー、大河原邦男さん(67)の仕事も大きく広がっていく。同作で作画監督やキャラクターデザインを担当し、その後、漫画家としても活躍する安彦良和さん(67)に、当時の思い出や大河原メカの魅力を聞いた。
「ガンダム」が生まれるまで
これはいろんなところで言っているのですが、「スタジオぬえ」(「宇宙戦艦ヤマト」や「超時空要塞マクロス」などに参加したSF企画制作スタジオ)が描いた、(米国のSF作家)ロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」のイラストがあったんです。当時の「スタジオぬえ」の代表だった(SF作家の)高千穂遙が、それを僕らに「読め」と勧めて、「こういうコンセプトもある」と教えてくれたんです。それを参考に、(総監督を務めた)富野由悠季(よしゆき)プランと相まって、「機動戦士ガンダム」の企画が進んでいった。
その流れでいえば、メカデザインは「ぬえ」であるべきだった。ただ、そのとき僕は、絵を描く人間として「あえて『ぬえ』ではないところに発注したい」と言ったんです。テレビアニメはアバウトなものですから、そこにあまり理屈を持ち込まれると、不自由になってしまう。当時、そういう経験を「ぬえ」との間で何度かしていたので、自分が消耗することを恐れて言ったんです。