大ヒット日本酒「獺祭」 杜氏の勘を「見える化」アジな革新 旭酒造の挑戦

「獺祭」を世の中に送り出した旭酒造の桜井博志社長。後ろは今年5月に完成した本蔵
「獺祭」を世の中に送り出した旭酒造の桜井博志社長。後ろは今年5月に完成した本蔵

 山口県岩国市にある「旭酒造」が、日本酒復活を力強く引っ張る。桜井博志社長(65)は、杜氏(とうじ)の「経験と勘」頼みからの脱却など、数々の技術革新で「獺祭(だっさい)」を大ヒット商品に育てた。伝統商品にこだわりながら、常に新たな技術を取り込む姿勢は、他分野でも成長の参考となり得る。(九州総局 奥原慎平)

 オバマ大統領へのお土産

 「事務所の女の子がオバマというから、てっきり(福井県)小浜市の話をしていると思ったら、アメリカ大統領へのお土産というんだ。驚いちゃった」

 桜井氏は笑いながら語った。

 安倍晋三首相は4月、来日したオバマ大統領に獺祭を、土産として手渡した。その際、あまりに獺祭が品薄だったことから、小売店などではなく、旭酒造本社に連絡が入ったという。

 米国だけではない。平成25年10月には、ロシアのプーチン大統領に、誕生日祝いとして贈られた。フルーティーな山口の地酒は、安倍首相の「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」に活用されている。

 桜井氏が酒造業界に入ったのは四十数年前だった。

 愛媛県の松山商科大(現松山大)を卒業後、兵庫・灘の大手酒造会社を経て、父親が経営する旭酒造に入社した。だが、酒造りの方向性で父と衝突し、退社を余儀なくされた。その後、父親が急逝し、家業を継いだ。昭和59年だった。

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