北京で開催されている陸上の世界選手権。大気汚染の影響が懸念されたものの、主会場の国家体育場(通称・鳥の巣)から見上げる空は青く澄みわたり、晴天の下で競技が続いている。国際的行事のたびに行われる「大気浄化作戦」が今回も奏功した格好だが、30日に大会が終了、4日後の軍事パレードが終わった後には再び「霧の都」に戻るのでは…と地元民の顔も曇りがちだ。
各国の選手団はマスク姿
普段はスモッグに覆われている北京に青空が広がっているのには理由がある。北京では9月3日に抗日戦争勝利記念行事の軍事パレードが開催される。スモッグの原因となっている微小粒子状物質(PM2・5)の濃度を下げるため、北京市政府は市内の約2千社の企業の工場について、一部生産停止などの対策を取ってきた。
また、交通量を半減させるため、世界選手権開幕前の20日から9月3日までの期間、車両のナンバープレートの末尾が奇数か偶数かによる車両規制を実施している。各国の選手団が北京入りした際、マスク姿の選手が多く見られたように、大気汚染を懸念する声は根強いため、大会組織委員会も開幕前から「万全の対策を取っている」と懸命にアピール。実際、20日以降はPM2・5の濃度も過去最低の水準が続いてきた。