精肉を販売する際に発泡スチロール性のトレー(発泡トレー)を使わず、真空パック包装にする動きが出ている。生活協同組合などの宅配では産地で真空パック包装した冷凍肉を届けるスタイルが定着しているが、スーパーの店頭にも並び始めた。主婦にとっておなじみの発泡トレーは、真空パックに取って代わられるのか。(加納裕子)
真空パックの精肉「ヨーロッパやアジアでは当たり前」
平成12(2000)年の改正容器包装リサイクル法で再資源化が推奨され、自治体やスーパーの店頭などで分別回収されている発泡トレー。スーパーの店頭で見る肉や魚は、ほとんどが発泡トレーに乗せてラップを掛けられた状態で並んでいる。
だが、精肉の販売現場で変化が起きているという。
関東でスーパーを展開する東急ストア(東京都目黒区)では、23年9月から、鶏肉や豚肉にトレーを使わず真空パックで販売する「ノントレーエコ包装精肉パック」を開始した。特にたれを絡めてパックした味付け肉のシリーズが好評だという。
さらに24年4月、日本ハム(大阪市北区)は全国のスーパーなどで販売するこだわりの鶏肉「桜姫」に、従来の「トレーパック」に加えて産地で真空包装する「産地パック」を導入。同社の担当者は「ヨーロッパやアジアでは産地で処理した肉を真空包装して店頭に運ぶのが当たり前。業界に先駆けてやっていきたいと考えました」と話す。
背景にあるのは、共働き家庭の増加によるまとめ買い傾向だ。産地で真空パック包装された肉は、店舗のバックヤードでトレーパックされた商品よりも数日間消費期限が長い。さらに冷凍する場合、ラップで包み直すなどの手間がなくそのまま冷凍庫に入れられる。たれを絡めた味付け肉なら調理も手軽だ。