更生保護施設態勢強化に歓迎の声「社会復帰の最後のとりで」

 「更生保護施設の積極的な取り組みに対し、政府が財政的な支援をしてくれるのは助かる」。東京都渋谷区で女性向け更生保護施設を運営する「両全会」の小畑輝海理事長は法務省の施策を歓迎する。両全会では滞在者の約6割が高齢者や障害者だ。専任の看護師の女性は「高齢者や障害者は就労が困難な上、指導も難しくなる。それでも本人がやる気をもって仕事を見つけ、自立した後に近況を知らせてくれると、再犯していないことが分かる」と現場の苦労と喜びを語る。

 政府目標である出所者約2千人の居場所を確保するため、法務省は更生保護施設のほかに、自立準備ホームや民間企業の協力も求めている。自立準備ホームでは、保護観察所に登録された社会福祉法人など全国332事業者(今年3月末時点)が宿泊場所と食事を提供、自立支援も行う。出所者の新規受け入れ委託人数は、更生保護施設で6676人(平成25年)、自立準備ホームで1109人(25年度)だった。

 一方、出所者の雇用に協力する民間企業は「協力雇用主」と呼ばれ、全国に1万4千社以上ある。このうち約670社で実際に出所者を雇用している。

 政府は実雇用する協力雇用主を3倍に増やす目標も掲げるが、法務省は27年度に協力雇用主への奨励金制度を創設。直近4カ月で約120社増加したという。

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